万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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阿騎(あき)の野に宿る旅人打ち靡(なびき)き眠(い)も寝(ぬ)らめやも古思(いにしへおも)ふに

巻一(四十六)
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阿騎の野で夜を過ごす旅人は、心しずかに寝入ることが出来るだろうか。いや、出来はしないよ、これほど昔のことが思い出されるというのに。
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この歌は先の巻一(四十五)の柿本朝臣人麿の長歌につけられた人麿自身作による四首の反歌のうちのひとつです。
いまはもう亡くなってこの世に居ない父である草壁皇子がかつて訪れた阿騎の野を、いま子である軽皇子が狩りに訪れている。
そんな想い出の地で旅人は心しずかに眠ることが出来るであろうかと、自問している歌です。
そして、もちろん出来るはずがないよ、こんなに昔のことが思い出されるのに、と答えています。

これも単純に感傷歌という類のものではなく、亡くなった草壁皇子の魂を慰める鎮魂の歌のように思われます。

この「旅人」とは、軽皇子だけではなく、かつて草壁皇子とともにこの阿騎の野を訪れたことのある人麿たちすべてのことを指しているのでしょう。


吉野郡大宇陀町にある柿本人麻呂公園には、人麻呂(人麿)や軽皇子たちが訪れた当時を想像させてくれる建造物が復元され、また阿騎の野はいまも我々の目の前に広がっています。


大宇陀町の阿紀神社にあるこの歌の歌碑。


阿紀神社。
柿本人麻呂公園の北西、かぎろひの丘のすぐ西にあります。


阿紀神社解説。


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万葉集巻一の他の歌はこちらから。
万葉集巻一


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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