万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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秋の田の穂の上(へ)に霧(き)らふ朝霞(あさかすみ)何処辺(いつへ)の方(かた)にわが恋ひ止まむ

巻二(八八)
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秋の田の稲穂の上にかかる朝霞のようにわが恋の晴れる方はどこにもないの
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この歌も(八十七)の歌などと同じく、磐姫皇后(いはのひめのおほきさき)の作とされている連作の一首です。
田のような低地にわだかまって動かない霞。
ここではその霞を晴れない恋の悩みの例えとして使われています。

上の句は「秋の田の稲穂の上にかかる朝霞はいつしか晴れるのに…」という意味に解釈されることもあるようですが、一応、今回はなかなか晴れない気持ちの例えとして解釈しておきました。

さて、巻二の巻頭(八十五)の歌で、古事記の仁徳天皇と磐姫皇后の物語について述べましたが、もう少し史実に近いとされる後の日本書紀ではけっきょく磐姫皇后は難波の宮には帰らずに夫を想い続けて亡くなってしまったとされています。

このような激しい愛情を詠った連作が巻二の巻頭に持ってこられたのは、この時代の人々もまた一途に人を愛することの尊さを感じていたからなのでしょう。
いつの時代を通しても恋とは切なく、苦しいものなのかも知れませんね。



磐之姫命稜
奈良の平城宮跡の北、国道24号線を北上したところに磐姫のお墓といわれる磐姫稜があります。


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万葉集巻二


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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