万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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三野連(みののむらじ)〔名闕(か)けたり〕唐(もろこし)に入(い)りし時に、春日蔵首老(かすがのくらのおびとおゆ)の作れる歌

ありねよし対馬(つしま)の渡り海中(わたなか)に幣取(ぬさと)り向けて早(はや)帰り来(こ)ね

巻一(六十二)
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嶺々のつづく対馬の航路の海中に幣をささげて、どうか無事にお早く帰ってきてください。
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この歌は遣唐使として大陸に渡ることとなった三野連(みののむらじ)を送り出すときに春日蔵首老(かすがのくらのおびとおゆ)が詠んだ送別歌。
序書では「名闕けたり(名欠けたり)」となっていますが、三野連の下の名は岡麿といいます。
三野連が遣唐使として唐に赴いたのは、702年の粟田真人が派遣された時のことでこの時には山上憶良(やまのうへおくら)も同行していたようですね。

この時代、大陸の唐の国は遠く中央アジア、ベトナムまでその勢力を広げ、その結果、唐の都「長安」はインドや東ヨーロッパの文化が集まる国際都市でした。
そんな唐の国から最先端の技術や文化を学ぶために日本から派遣されたのが遣唐使です。

この歌の初句に「対馬」とあることから、この時の航路は北寄りの比較的安全な航路をとった(この後、新羅との関係が悪化してこの航路を通れなくなった)ようですが、それでも大陸への旅は危険を伴うものであり、また海の向こうの見知らぬ国への旅は旅立つ者にとっても見送るものにとっても不安に満ちたものだったことでしょう。
「対馬の航路の海の神に幣をささげてどうぞ無事にお早く帰ってきてください」とは、春日蔵首老の願いであるとともに歌として託した祈りでもあったのです。


復元された遣唐使船。
平城宮跡にある平城京歴史館の前に展示されています。
三野連たちは唐で二年間学んだ後、多くの知識を携えて無事日本に帰ってくることが出来ました。


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万葉集巻一


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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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