万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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あさもよし紀人羨(きひとともし)しも亦打山(まうちやま)行き来(く)と見らむ紀人羨しも

巻一(五十五)
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麻の裳もよい紀の国の人は羨しいものだなあ。真土山を行き帰りに見れる紀の国の人は、ほんとに羨しものだ。
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この歌は先に紹介した巻一(五十四)の歌とおなじく持統天皇が文武天皇とともに紀伊国の「紀の牟婁(むろ)の湯」(白浜温泉)に行幸したとき、調首淡海(つぎのおびとあふみ)が詠んだ作といわれ、やはり土地誉めの歌なのでしょう。
一行は藤原京から巨勢を通りこの真土に入ったわけですが、この当時、藤原京から真土までは一日の旅路だったといわれています。

この歌では、真土山を見れる地に住む紀人を羨ましいと詠うことで、その土地を賛美するという非常に興味深い一首となっていますね。
その土地をそのまま誉めるのではなく、そこに住む人々を羨ましいと詠う構成もまた古くから詠い継がれてきたものなのでしょうか。
また、「紀人羨(きひとともし)しも」と繰り返すことで、よき「調べ(リズム)」を生み出すのみならず、呪文としての効力を何重にも重ねようとする強い想いのようなものも感じられて魅力的です。


真土は奈良県と和歌山県の県境、和歌山県隅田(すだ)町にあります。
電車で行く場合は、JR和歌山線「JR隅田駅」のすぐ西側です。
真土のすぐ手前、奈良県五條市の国道24号線沿いにあるこの歌の歌碑。


国道24号線を和歌山に入ってすぐの小高い岡の上にある「亦土山(真土山)」の石漂。


国道24号線をさらに南下した場所(真土貯水場前)にもこの歌の万葉仮名原文歌碑があります。


真土の集落。
とびこえ休憩所(写真左の建物)の向こう(東)に見えるのが真土山か?


飛び越え石(落合川をはさんで二つ向かいあった石)
奈良(写真手前)から来た旅人はここを通って和歌山(写真向こう側)に入りました。


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万葉集巻一の他の歌はこちらから。
万葉集巻一


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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