万葉集入門
万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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一書に曰はく、近江天皇(あふみのすめらみこと)の聖躰不予御病急(みやまひには)かなりし時に、大后の奉献(たてまつ)れる御歌一首

青旗(あをはた)の木幡(こはた)の上をかよふとは目には見れども直(ただ)に逢はぬかも

巻二(一四八)
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青々と繁った木々の上を大君の魂が通うと目には見えるのに、現実にはお逢いできないことです。
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この歌も先の巻二(一四七)の歌と同じく、天智天皇が崩御の前後に倭大后(やまとのおほきさき)が詠んだ三首の歌のうちのひとつ。
「木幡」はここでは「木々」と解釈したが、天智天皇の御陵の近くにある京都府宇治市北部にある「木幡山(こはたやま)」とする説も。
この歌も解釈は難しく定説はないようですが、青旗のように青々と茂った木々の上を天皇の魂が通うのを見えるのに、現実にはお逢いできないとの嘆きが詠われています。
序によるとこの時点ではまだ天皇は崩御されていないわけですが、倭大后にははっきりと天皇の魂の空を飛び交う姿が感じ取れていたのでしょうね。
木々の上の空高くたしかに感じる天皇の魂の存在と、もう一度現実の世界でお逢いしたいとの切な願いが重なった古代の万葉人らしい深い悲しみの一首のように思います。


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万葉集巻二


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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