万葉集入門
万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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天皇の御製歌(おほみうた)

春過ぎて夏来(きた)るらし白妙(しろたへ)の衣乾(ころもほ)したり天(あま)の香具山(かぐやま)

巻一(二十八)
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春も終わり夏がやってきたようですね 天の香具山に(神祭りの)純白の衣が乾されているのが見えますよ
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百人一首にも取られている持統天皇(女性の天皇です)の有名な一首です。
大意を読んだ限りでは、単なる目の前にある風景をそのまま詠んだだけのようですが、実はこの歌には夏を連れて来る神への「語り掛け」「祝い」「感謝」の意味があるともいわれています。
万葉集の時代には、新しい季節は神が連れて来るのだと考えられていたようです。
また、天の香具山は「天(あま)の」と付くように、かつて天から降りてきた山ともいわれ、大和の山の中でも特別の神の山として崇められていました。

ちなみにこの歌は百人一首では「春過ぎて夏来にけらし白妙の衣ほすてふ天の香具山」として収録されていますが、これは平安時代の好みに合わせて語句を詠み変えられたためです。
現代人にとっても好みは分かれるかも知れませんが、百人一首のほうは優雅さはあっても、もとの万葉集の歌が持っていた言葉の力が失われてしまっているように感じるのは僕だけでしょうか。


藤原京から見た天の香久山
持統天皇もこの場所から香久山を眺めて詠ったのでしょう。



藤原京跡の北にある池のほとりにこの歌の歌碑が立っています。



歌碑の後ろに見えるのは天の香具山



香具山の麓の香具山神社にもこの歌の歌碑があります。


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万葉集巻一の他の歌はこちらから。
万葉集巻一


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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