万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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古の人にわれあれやささなみの古き京を見れば悲しき

高市古人(たけちのふるひと)の近江の旧堵(きゅうと)を感傷して作れる歌
〔或る書に云はく、高市連黒人(たけちのむらじくろひと)といへり〕

古(いにしへ)の人にわれあれやささなみの古(ふる)き京(みやこ)を見れば悲しき

巻一(三十二)
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古い時代の人間だからか私は、楽浪の近江の旧都を見ると心がいたむことだよ。
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作者の高市古人(たけちのふるひと)についてはよく分かっていませんが、高市連黒人の通称でしょうか。
この歌の上の句は、その通称の「古人」に掛けて戯れているようにも取れますね。

天武天皇の壬申(じんしん)の乱によって近江朝廷は敗れ、都は再び大和の飛鳥地方(奈良県)に戻されます。
この歌はその後に古びてしまった近江の都へ立ち寄った高市古人が、繁栄していた昔の近江を思い出し感傷にふけり詠んだものですが…

ただし、単純に感傷歌というわけではなく、土地の神々や精霊を慰める鎮魂の意味を強く持っているようにも感じられます。

万葉集を読み進められていけば分かりますが、じつはこの歌によく似た内容の歌はけっこう多く出てくるのです。
これはこの時代の風習のようなもので、古びた都を訪れたものが必ず土地の神に歌いかける慰めの儀式のようなものなのでしょうね。


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万葉集巻一の他の歌はこちらから。
万葉集巻一


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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