万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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香具山と耳梨山とあひし時立ちて見に来し印南国原
香具山と耳梨山(みみなしやま)とあひし時立ちて見に来し印南国原(いなみくにはら)
巻一(十四)
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香具山と耳梨山が争ったとき それを止めようと阿菩(あぼ)の大神が 印南国原まで来たんだってさ
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中大兄皇子(なかつおほえのみこ)の三山の歌、巻一(十三)に付けられた反歌のうちのひとつです。
正直、これだけを読むとちょっと意味がわかりにくいかも知れませんが、これは播磨風土記に香具山と耳梨山が争ったとき、調停のために出雲の阿菩(あぼ)の大神が立ち上がり印南国原(現在の兵庫県加古川市・明石市一帯)まで来たところで争いが納まったと聞いて帰って行った、と記されているのを詠んだものですね。
この三山の歌は長歌も含めて、斉明天皇時代の新羅遠征時、播磨の国を船出するときの土地の神への祈願に詠まれたという説もあります。
この歌も印南国原は由緒ある土地であると誉める(土地誉め)ことによって、土地の神のご利益を得ようとしたということでしょうか。
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万葉集巻一の他の歌はこちらから。
万葉集巻一
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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