万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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天皇の大殯(おほあらき)の時の歌二首

かからむの懐(おもひ)知りせば大御船泊(おほみふねは)てし泊(とま)りに標結(しめゆ)はましを

額田王

巻二(一五一)
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あの世へと旅立って行かれるおつもりと知っていたのなら、天皇のお乗りになる船の留っている津に出航を禁じる標を結んでおいてけっして旅立たせたりなどしなかったのに。
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この歌は天智天皇が崩御ののち、埋葬に先立って新城(あらき)に祭られた時に詠まれた二首のうちひとつです。
作者は額田王(ぬかたのおほきみ)のようですね。
新城(あらき)は本葬をする前に棺に遺体を納めて仮に祭ること。
「標(しめゆ)」は、この歌の場合は船の出航の出入りを許可する「しるし」です。
これは天智天皇の朝廷が近江にあったことから船の旅立ちとあの世への旅立ちを重ねて詠んだわけですね。

もちろん天皇の船の出航を止めることなど誰にも出来ませんが、あの世へ旅立たれると分かっていたならどんなことをしてでも止めたかったとの額田王の切実な悲しさがよく出ている一首のように思います。
このようにして現代に残っている歌を読むと、千年以上前の天皇やその后、夫人たちといっても、われわれと何ら変わらない心を持って人を愛し、その死を悲しんでいたことが分かりますね。
千年もの後までもその人の心を伝えてくれる短歌の力の大きさにあらためて驚かされます。


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万葉集巻二の他の歌はこちらから。
万葉集巻二


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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