万葉集入門
万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

スポンサード リンク


これやこの大和にしてはわが恋ふる紀路にありといふ名に負ふ背の山

背の山を越えし時に、阿閉皇女(あへのひめみこ)の作りたませる御歌


これやこの大和(やまと)にしてはわが恋ふる紀路(き)にありといふ名に負(お)ふ背(せ)の山

巻一(三十五)
-----------------------------------------------
紀州路にあると聞いてかねて大和で心ひかれていた背の山。ああ、これこそその名にそむかぬ背の山だわ。
-----------------------------------------------

阿閉皇女(あへのひめみこ)は草壁皇子の妻で、後の元明天皇(げんめいてんわう)。
この歌は夫を亡くした翌年に紀州(和歌山)を訪れたさいに詠まれたものといわれています。

歌の意味だけを見れば大和にいたころに噂に聞いていた有名な背の山を目の前にして、その姿に感動している意味に取れますね。

まあ、もちろんそういう意味で捉えていいのですが、これもほんとうのところは背の山を誉める(地誉めする)ことでその地の霊に働きかけ旅の無事を祈るといった地誉めの歌なのでしょう。
いまでは旅といってもそれほど危険をともなうものではなくなりましたが、昔は獣などが住む野道や危険な山道を通って行くためにまさに旅は命がけでした。
土地の神々や精霊に祈ることで旅の安全を祈願する歌はこの後もたびたび出てきます。

このように万葉集の時代には、神々や精霊は常に生活の一部になっていて、歌は言霊の力を持つ呪術としての役割も強く持っていたのです。


和歌山県かつらぎ町にある「背の山」。
道の駅「紀の川 万葉の里」横の堤防からの風景。



背の山の頂上。
背の山には誰でも自由に上ることが出来ます。



背の山の解説。



背の山頂上にある八幡大社。
小さな祠だけの神社です。



八幡大社の鳥居の側にこの歌の歌碑が立っています。


スポンサード リンク


関連記事
万葉集巻一の他の歌はこちらから。
万葉集巻一


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

万葉集入門(トップページ)へ戻る

当サイトはリンクフリーです、どうぞご自由に。
Copyright(c) 2009 Yoshihiro Kuromichi (plabotnoitanji@yahoo.co.jp)


スポンサード リンク


欲しいと思ったらすぐ買える!楽天市場は24時間営業中

Amazon.co.jp - 通販