万葉集入門
現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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世間(よのなか)の繁(しげ)き仮廬(かりほ)に住み住みて至らむ国のたづき知らずも
右の歌二首は、川原寺(かはらでら)の仏堂の裏(うら)に、倭琴(やまとこと)の面(おもて)にあり。
巻十六(三八五〇)
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世間という煩わしい仮の世に住んできて、辿り着きたいと思う国へ行く手段も知らないことよ
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この歌も先の巻十六(三八五〇)の歌と同じく、題詞に「世間の無常を厭へる歌二首」と書かれた、世の中の無常を嘆いて詠まれた二首の歌のうちのひとつ。
左注によると、これらの二首の歌は川原寺の仏堂の中の倭琴の表面に記されていたとのことです。
川原寺は奈良県明日香村にあった官寺。
歌の内容は「世間という煩わしい仮の世に住んできて、辿り着きたいと思う国へ行く手段も知らないことよ」と、この歌もまた現世という煩わしい仮の世に住みながら極楽浄土への行き方も知らないと嘆いています。
この歌からも、この世を仮の住まいとする仏教の認識が、すでにこの時代の人々の間に広がっていたことが窺われますね。
奈良県明日香村の橘寺前にあるこの歌の歌碑。
道を挟んで向かい側にある川原寺(かわらでら)跡のほうを向いて立てられています。
(川原寺跡と橘寺は道を挟んで向かい合った場所にあります。)
添碑の歌の解説。
(訳の意味が当サイトの解釈とは違いますが、まあ気にしないでください^^;)
倭琴(やまとこと)の模型。
倭琴は日本古来の琴です(平城京資料館展示品)。
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万葉集巻十六の他の歌はこちらから。
万葉集巻十六
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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