万葉集入門  ()
万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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二年壬寅(じんいん)に、太上天皇の参河国(みかはのくに)に幸しし時の歌

引馬野(ひくまの)ににほふ榛原入(はりはらい)り乱れ衣(ころも)にほはせ旅のしるしに

右の一首は長忌寸奥麿(ながのいみきおきまろ)

巻一(五七)
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引馬野に美しく色づいている榛原に分け入って衣を染めなさい、旅のしるしに。
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この歌は持統天皇が三河の国に行幸された時に従駕した長忌寸奥麿(ながのいみきおきまろ)の詠んだ一首。
「榛」は植物のハンノキ。
「にほふ」とは当時、黄葉の映色をにほふと言ったようです。
そんな「引馬野に美しく色づいている榛原に分け入ってみなさん衣を染めなさい、旅のしるしに」との内容ですが、これも単純に衣を綺麗な色に染めるという意味ではなく衣を染めることで旅先での「土地の神の加護を身につける」との呪術的な意味が込められています。

この時代の人々の暮らしは医療や科学の発達した現代よりもはるかに危険が多く、旅先などでは事故や自然災害などによって運命を大きく左右されることがよくありました。
それゆえに人々は、土地の神々や精霊の力を現代人よりも強く感じて信じ、その呪いや祟りを畏れ歌や幣を捧げることで逆に加護にすがろうともしたのですね。


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万葉集巻一


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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