万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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慶雲三年丙午(へいご)に、難波の宮に幸しし時
志貴皇子(しきのみこ)の作りませる御歌

葦辺(あしへ)行く鴨の羽(は)がひに霜降りて寒き夕へは大和し思ほゆ

巻一(六四)
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葦べを泳ぐ鴨の背に霜の降る寒い夕べは大和のことが思われて仕方がないなあ。
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この歌は文武天皇が難波宮に行幸された時に従駕した志貴皇子(しきのみこ)が詠んだ一首。
志貴皇子は天智天皇の皇子でしたが、壬申の乱のときにはまだ幼かったために命を奪われずにすみました。

難波宮は現在の大阪市中央区にあり孝徳天皇のころに京のあった場所です。
志貴皇子たちが訪れたこの時期にはすでに京は大和の明日香を経て藤原京に遷っており、難波宮の宮室も六八六年の火災で全焼したあとでしたがかつての宮としての機能そのものはまだ残っていたのでしょうね。
そんな難波宮での寒き夕べに大和を思い出して詠まれた一首ですが、この歌も大和の土地そのものというよりはそこに残してきた妻を想っての歌のように思えます。

遠き難波の地での夕刻に、心も身体も凍えて消えてしまいそうな不安を大和の妻を一心に想うことで鎮めようとしたのでしょう。


史跡、難波宮跡。



難波宮跡から眺める大阪城。


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万葉集巻一の他の歌はこちらから。
万葉集巻一


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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