万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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天皇の御製(おほみうた)

ますらをの鞆(とも)の音すなりもののべの大臣楯(おほまへつきみたて)立つらしも

巻一(七六)
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勇士たちの鞆を弓の弦がはじく音が聞こえてくるよ。物部の大臣が楯を立てているよ。
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この歌は元明天皇(げんめいてんわう)の御製歌。
元明天皇は天智天皇の皇女で、即位前の名は阿閉皇女(あへのひめみこ)といい草壁皇子(くさかべのみこ)の正妃です。

草壁皇子が天皇になることなく世を去ってしまったのち、その子である幼い軽皇子(かるのみこ)が成長するまでの間、草壁皇子の母である沙羅羅皇女が中継ぎの天皇として即位し持統天皇となりました。
その後、無事成長した軽皇子が即位して文武天皇(もんむてんわう)となるのですが、この文武天皇も即位後、十年ほどで亡くなってしまいます。
文武天皇には首皇子(後の聖武天皇)という皇子がいましたが、この皇子もまだ幼かったため成長するまでの間の中継ぎの天皇として祖母である阿閉皇女が即位したのが元明天皇です。

この歌は元明天皇の即位の翌年、即位式の大嘗会(だいじょうえ)の儀式の際に詠まれた儀礼の歌で、天皇の即位を祝うために兵士たちが弓の弦を打ち鳴らしたり楯を立てたりする様子の勇ましさを詠っています。
「鞆(とも)」は弓の弦が跳ね返って当たるのを防ぐ革の防具のこと。
その鞆に弓の弦が跳ね返って当たる音のすさまじさが実際に聞こえてくるような一首ですね。


奈良市佐保にある元明天皇陵。
現在の鴻池運動公園の北、娘の御陵である元正天皇陵のすぐそばに並んで位置しています。

元明天皇陵は鴻池運動公園の前の道を北へ進んで二つ目の信号を右折してすぐ。
元正天皇陵は鴻池運動公園の前の道を北へ進んで二つ目の信号を左折してすぐの場所にあるます。


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万葉集巻一の他の歌はこちらから。
万葉集巻一


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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