万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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和銅五年壬子(じんし)の夏四月、長田王(をさだのおほきみ)を伊勢の斎宮(いつきのみや)に遣(つか)はしし時に、山辺(やまのへ)の御井(みゐ)にして作れる歌
山の辺(へ)の御井(みゐ)を見がてり神風の伊勢少女(をとめ)ども相見つるかも
巻一(八一)
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山の辺の聖水を見ながら神風の吹く伊勢の聖少女たちをも見ることが出来たよ。
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この歌は長田王(をさだのおほきみ)が伊勢の斎宮への遣いとして派遣された時に、山辺の御井を見て詠んだ三首の歌のうちの一首。
山辺の御井は聖なる水のある場所で、どこにあったのかはっきりと分かっていませんが三重県鈴鹿市山辺町などのいくつかの説があるようです。
そんなうわさに聞く山辺の御井の聖水を見ることが出来た上に、その水を酌んでいる聖少女たちをも見ることが出来たとの爽やかな喜びの歌ですね。
さらには、山辺の御井の聖水とそれを酌む聖少女たちを誉めることで、その神聖な土地の神のご加護を授かろうとした土地讃めの祈りの歌でもあるようです。
長田王はこの後、天平六年の春に朱雀門外で行われた歌垣に風流者の筆頭として参加したと伝えられていますが、この歌からはそんな風流者としての繊細な感受性だけでなく呪術的な古風ある歌をもしっかりと身に着けていた人物であったことが窺い知れます。
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万葉集巻一
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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