万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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舎人娘子(とねりのをとめ)の和(こた)へ奉れる御歌一首

嘆きつつ丈夫(ますらをのこ)の恋ふれこそわが髪結(かみゆひ)の漬(ひ)ぢてぬれけれ

巻二(一一八)
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嘆きながらも丈夫(ますらを)である男子が恋してくださるから私の髪を結った糸も濡れて解けるのですね。
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この歌は先の巻二(一一七)の舎人皇子(とねりのみこ)の歌に、舎人娘子(とねりのをとめ)が返した一首。
舎人皇子は舎人氏に傅育されており、舎人娘子は舎人氏の娘で宮中の女官だったようです。

「立派な男子ならばみっともなく片恋に悩んだりはしないぞと自身を嘆くのだけれども、それでもふがいない自分は恋に悩むのです」との、舎人皇子の歌に対して、「嘆きながらも丈夫な男子が片思いしてくださるほどに強い想いだからこそ、私の髪を結った糸が霧となったその恋の溜息でぬれて切れ髪が解けるのですね」と返した素敵な恋の返歌ですね。

ちょっと意味の分かりにくい歌かも知れませんが、この当時、成人した女性は髪を結い寝る時には結った髪を解くことから、糸で結った髪が不意に解けるのは誰かに恋されているとの俗言があったようです。
この歌もそんな俗言を念頭に置いて、私の結った髪が不意に解けるのは皇子が恋してくださっていたからなのですね、と皇子の顔を立てながら上手くその想いを受け入れています。
きっと、舎人皇子にならば、髪を解いて共に寝てもかまいませんよとの意味もあるのでしょうね。


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万葉集巻二の他の歌はこちらから。
万葉集巻二


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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