万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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吾妹児(わぎもこ)に恋ひつつあらずは秋萩の咲きて散りぬる花にあらましを

巻二(一二〇)
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愛しいあの子に恋い悩んでいるぐらいなら、いっそ秋萩の花のように咲いて散りたいものだなあ。
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この歌も先の巻二(一一九)の歌と同じく、弓削皇子(ゆげのみこ)が紀皇女(きのひめみこ)を思って詠んだ四首の歌のうちのひとつ。
「愛しい皇女を想ってひとり恋に悩み苦しむぐらいなら、いっそ秋萩の花のように華やかに咲いて散ってしまいたいものだ」との、恋の苦しさが素敵に表現されている一首ですよね。
万葉集の時代のこの手の恋の心情表現の歌は、比喩を用いて詠われることが多かったようです。
この歌でも恋に悩む苦しさから逃れて秋萩の花のように散ってゆきたい、と秋萩の花に自身を重ねてその切なさを見事に表現していますね。

ちなみに、この後、弓削皇子は二十代の若さでこの世を去ることになるのですが、そんな夭折の皇子が詠んだ歌と思うとこの歌もなんだか予言めいたもののようにも思えてきますよね。
まあ、もちろん弓削皇子自身にもそこまでの予感はなかったのでしょうが、自身が歌にして詠んだ秋萩の花のように美しく散っていった命がなんともこの皇子らしいと僕には思えるのです。


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万葉集巻二の他の歌はこちらから。
万葉集巻二


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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