万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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大船の泊(は)つる泊(とま)りのたゆたひに物思(も)ひ痩(や)せぬ人の児ゆゑに
巻二(一二二)
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大船が泊まる港の水のようにゆれ動く心のために痩せてしまったよ。あの人のために。
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この歌も巻二(一一九)の歌などと同じく、弓削皇子(ゆげのみこ)が紀皇女(きのひめみこ)を思って詠んだ四首の恋歌のうちの一首。
「人の児」はこの場合は紀皇女のことで、「大船が泊まる港の水のように紀皇女を想って揺れる物思いの心のために痩せてしまったよ」と、その恋心の切なさを詠っています。
もちろん恋の苦しみを誇張しての表現ではありますが、実際に物も喉を通らないほどの熱烈な恋心を持って紀皇女を愛していたのは事実なのでしょう。
実際には弓削皇子の夭折とは何の関係もないのでしょうけれど、どことなく恋に痩せて恋に死んでいったようなそんなイメージが漂うところも、僕はこの皇子の魅力のひとつだと思っています。
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万葉集巻二
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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