万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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三方沙弥(みかたのさみ)の園臣生羽(そののおみいくは)の女(むすめ)を娶(ま)きて、いまだ幾(いくばく)の時を経(へ)ずして病に臥して作れる歌三首
たけばぬれたかねば長き妹(いも)が髪この頃見ぬに掻(か)きいれつらむか
〔三方沙弥〕
巻二(一二三)
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束ねれば解け束ねなければ長すぎたあの娘の髪はしばらく逢わないでいる間に誰かに掻き入れて束ねてしまっただろうか。
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この歌は園臣生羽(そののおみいくは)の女(むすめ)と恋仲になってすぐに病に伏した三方沙弥(みかたのさみ)が詠んだ恋歌。
この歌から続く三首の相聞歌になっています。
この時代、「髪を束ね」て結髪することは人の妻になった証とされていました。
ですので、「束ねれば解け束ねなければ長すぎた」とは、結婚前の女性のことを指しているわけですね。
「自分が病で伏してしばらく逢わないでいるうちにあの娘の髪はもう他の誰かによって束ねられてしまった(誰かの妻になってしまった)かなあ」との、なんとも切ない男の恋心ですよね。
この時代の男女の関係は歌垣などで恋歌を交し合ったのち、男が女の家に通うことでその関係がはじまりました。
そして、男が女の実家の側に嬬屋を建てて女を住まわせることではじめて周りからも夫婦と認められたようです。
この二人はまだ正式な夫婦となる前の段階で三方沙弥が病に伏して逢えなくなってしまったのでしょうね。
病に伏している状況の心の弱さが恋愛面でも気弱な恋心となって詠われている、なんとも切なさの感じられる一首のように思います。
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万葉集巻二
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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