万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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柿本朝臣人麿の妻依羅娘子(よさみのをとめ)の人麿と相別れたる歌一首
な思ひと君は言へども逢はむ時何時(いつ)と知りてかわが恋ひあらむ
巻二(一四〇)
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物思いするなと君は言うけれど今度逢えるのは何時ともわからないのに私は恋わずにいられません。
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この歌は柿本人麿(かきのもとのひとまろ)の妻の依羅娘子(よさみのをとめ)が、人麿との別れを悲しんで詠んだ一首。
依羅娘子については詳しいことは分かりませんが、直前に石見の妻を詠った巻二(一三一)からの人麿の歌があることから、この依羅娘子こそが人麿の石見の現地妻であると言われているようです。
ただし、題詞には何の説明もなく依羅(よさみ)という地名は摂津や河内にもあるので、必ずしも石見の現地妻とも限りませんが…
まあ、でも石見の現地妻として巻二(一三一)からの一連の物語歌と読んだほうが面白くはありますよね。
内容のほうも巻二(一三一)から続く人麿の歌に対する石見に残された妻の側の歌として無理なく受け入れられるものであり、旅行く夫の無事を祈る歌であると同時に巻二の相聞の部を締めくくるのにふさわしい切ない恋歌になっています。
万葉集の時代は現代よりもはるかに命の儚い時代であっただけに、この依羅娘子の「何時」という言葉にもわれわれが普段使う「何時」とは比べものにならない切迫した心の集中が感じられるように僕には思えます。
異伝などの繰り返しで人麿の石見の歌が長々と続いてちょっと飽きてこられた方もいらっしゃったかと思いますが、この歌が最後の締めとしてあるおかげでこれまでの人麿の歌も見事に引き立ったのではないでしょうか。
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万葉集巻二
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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