万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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夢にだに見ざりしものをおほほしく宮出(みやで)もするか佐檜(さひ)の隈廻(くまみ)を

巻二(一七五)
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夢にも想像しなかったものを心も鬱々と宮に出仕することだなあ、この檜の隈の地を。
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この歌も草壁皇子に仕えていた舎人が詠んだ二十三首の晩歌のうちのひとつです。
「佐檜の隈廻」は奈良県高市郡の檜前(ひのくま)のことで、草壁皇子の墓のある真弓の丘の東に位置しちょうど飛鳥の宮から真弓の丘に通う途中の土地になります。
「皇子の生前中は、まさか自分が檜前の地を通って皇子の御陵に出仕することになるとは夢にも思っていなかった」との、舎人の悲しみと鬱々とした心情が伝わってくるような一首ですね。
草壁皇子のお墓を守るために檜前の道を通って出仕しながらも、今でも皇子の死が受け入れられない悲しさのようなものも感じられるように思います。

檜前(ひのくま)の地は、高松塚古墳の西、高松塚古墳から飛鳥駅へ向かう道の途中の大きな三叉路を南に行ってすぐの場所にあり、檜隈寺址(於美阿志神社)などの史跡もあります。
みなさんももし時間に余裕があれば檜前の地から真弓の丘まで、この歌をはじめとした舎人たちの挽歌を口ずさみながら実際に歩いてみてください。
そうすることで、草壁皇子を失った当時の舎人たちの心の喪失感が現代にそのまま蘇ってくるのを感じられるはずです。


奈良県高市郡檜前。
写真の森のような場所は檜隈寺址(於美阿志神社)です。



檜前は高松塚古墳の西にあり檜隈寺址(於美阿志神社)などの史跡が出土しています。


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万葉集巻二


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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