万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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一日(ひとひ)には千(ち)たび参りし東(ひむかし)の大き御門(みかど)を入りかてぬかも

巻二(一八六)
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一日に何度も参上した東の大きな御門も、今は入ることが出来なくなったなあ。
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この歌も草壁皇子の死を悼んで舎人たちが詠んだ二十三首の晩歌のうちの一首。
東の大き御門とは、巻二(一八四)の歌にもあった草壁皇子の島の宮の東の門と同じ門のことと思われます。

「皇子の生前中は日に何度も参上し通ったあの門も、今では通ることも出来なくなった…」との、過去の賑わいと皇子を喪った現在の空虚さを詠んだ歌ですね。
同時に、「草壁皇子がいなくなったことで華やかだった島の宮も廃れ、私たちはこんなにも寂しい思いをしているのですよ」との、皇子の魂への語り掛けでもあるのでしょう。
こうして見ると、おなじ草壁皇子の死を悼む挽歌でも舎人たちひとりひとりのそれぞれの悲しさや空しさが表現されていて、千数百年経った現代にまでその想いをしっかりと伝えてくれていることに歌の力の大きさを改めて感じさせられるようなそんな気がします。


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万葉集巻二の他の歌はこちらから。
万葉集巻二


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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