万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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つれも無き佐太(さた)の岡辺(おかへ)にかへり居(ゐ)ば島の御階(みはし)に誰か住まはむ
巻二(一八七)
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所縁もなかった佐太の岡辺に繰り返し参上しているが、今頃あの島の宮の階下には誰が参上しているだろうか。
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この歌も舎人たちが詠んだ草壁皇子の死を悼む二十三首の晩歌のうちのひとつ。
「私はいままでは縁もなかった佐太の岡辺に繰り返し参内しているけれど、かつて参内して仕えた島の宮の階の下には今は誰が参内しているのだろう」との、皇子の生前の島の宮を懐かしんで詠んだ歌ですね。
「御階(みはし)」は、宮殿の階段(きざはし)で、その下にこの舎人たちが侍していたようです。
草壁皇子が亡くなり、その御陵である佐太の岡に舎人たちが参上するようになった後の島の宮の宮殿は寂れて人気もすっかりと減ってしまっただろうと想像できます。
「今は誰が参上しているのだろう…」との問いは、誰もいないと分かっていてのものですが、それゆえに寂しさを引き立たせてくれますね。
草壁皇子の生前中が華やいだものであっただけに、島の宮の荒廃は舎人たちの心に余計にその寂しさが強調されて見えたことでしょう。
この歌も、そんなかつての島の宮を懐かしみまた皇子の生前を思い出し詠うことで、自身の心だけでなく亡くなった草壁皇子の魂をも慰めようともしている一首のように思います。
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万葉集巻二
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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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