万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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直(ただ)の逢ひは逢ひかつましじ石川に雲立ち渡れ見つつ偲(しの)はむ
巻二(二二五)
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直に逢うことはもう出来ないでしょう、せめて石川に雲となって立ち渡ってください。それを見ながら貴方を偲びます。
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この歌も柿本朝臣人麿(かきのもとのあそみひとまろ)が石見国(現在の島根県の西半分)で亡くなったときに、妻の依羅娘子(よさみのをとめ)が詠んだとされる二首の挽歌のうちのひとつ。
「雲立ち渡れ」とは、当時の人々は亡くなった人の魂が雲になって流れてゆくと考えていたからで、「貴方(人麿)が亡くなったと聞く石川の上の雲を見て貴方を偲びます」との切ない思いがよく表現されている一首ですね。
現代では人の魂が雲になって流れて行くとの考えはないためにここはちょっと分かりにくい表現かもしれませんが、亡くなった人の生前によく通っていた場所や形見などを見てその人を偲ぶ感情とも根本の部分ではそれほど変わらないですし、みなさんにも依羅娘子の哀しみに十分に共感できるものがあるのではないでしょうか。
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万葉集巻二
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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