万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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寧樂宮(ならのみや)

和銅(わどう)四年歳次辛亥(さいししんがい)、河辺宮人(かはべのみやひと)の姫島(ひめしま)の松原(まつばら)に嬢子(をとめ)の屍(かばね)を見て悲しび嘆(なげ)きて作れる歌二首


妹(いも)が名は千代に流れむ姫島(ひめしま)の子松(こまつ)が末(うれ)に蘿(こけ)むすまでに

巻二(二二八)
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おとめの名は千代に語り伝えられるだろう。この姫島の子松がやがて苔むす老樹となるまで。
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この歌は、河辺宮人(かはべのみやひと)が姫島(ひめしま)の松原(まつばら)で嬢子(をとめ)の亡くなっているのを見て悲しみ詠んだ二首のうちのひとつです。
「河辺宮人」は飛鳥の「河辺の宮人」の意味で名前ではありません。
「姫島」は所在は不明ですが、摂津のあたりでしょうか。

歌の内容はそんな行き倒れの嬢子に「おとめの名は千代に語り伝えられるだろう。この姫島の子松がやがて苔むす老樹となるまで。」と、名の永遠を詠って嬢子の無念の魂を慰める鎮魂歌となっています。
この時代、道々にはこの嬢子以外にも道端で行き倒れになっているような行路死者が少なからずいたようで、そんな場所には死者の無念の魂が居ついていると考えられていました。
それゆえに、旅の途中などで死者に出会った者は、この河辺宮人のようにその魂を慰める歌を詠うなどして無念の思いを鎮めることで、自らに災いが降りかかってくるのを避けようとしました。


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万葉集巻二の他の歌はこちらから。
万葉集巻二


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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