万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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長忌寸意吉麿(ながのいみきおきまろ)の詔(みことのり)に応(こた)へたる歌一首

大宮(おほみや)の内(うち)まで聞こゆ網引(あびき)すと網子調(あごととの)ふる海人(あま)も呼び声

右の一首は

巻三(二三八)
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行宮の内まで聞こえてきます網を引こうと網子を整える海人の呼び声が。
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この歌は持統天皇が難波宮に行幸された時に、天皇から作歌を命じられた長忌寸意吉麿(ながのいみきおきまろ)の応えて詠んだ一首。
「網子」とは網を引く男のことで、「網子に指示を出して漁をする海人の声が難波宮の宮殿の中にまで聞こえてきます」との、難波宮の繁栄を詠った祝いの歌ですね。
実際に網子の声が難波宮の中まで聞こえてきたのかどうかは分かりませんが、この手の祝いの歌は言霊の力を借りてその実現を願う意味もあったので事実であったかどうかはそれほど問題ではなかったはずです。

長忌寸意吉麿についてはあまり詳しいことは分かっていませんが、「網引(あび)き」、「網子(あご)」、「海人(あま)」と、句頭に「あ」三音、「大宮(おほみや)」、「内(うち)」のあ行「お」、「う」を重ねて心地よい「調べ(リズム)」を生み出すなど、なかなかに歌の巧みな人物であったようですね。
この手の歌というのは呪術的な意味合いも強いので、口に出して詠んだ(唱えた)ときの「調べ(リズム)」の心地よさも非常に大切な要素のひとつだったろうと思われます。


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万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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