万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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また、長田王(をさだのおほきみ)の作れる歌一首
隼人(はやひと)の薩摩(さつま)の迫門(せと)を雲居(むもゐ)なす遠くもわれは今日(けふ)見つるかも
巻三(二四八)
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隼人の薩摩の瀬戸を雲居とまがうほどに遠くに、私は今日見たことです。
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この歌も巻三(二四五)の歌などと同じく、筑紫に派遣された長田王(をさだのおほきみ)が詠んだ一首。
「薩摩(さつま)」は今の鹿児島県南部で「隼人(はやひと)」は薩摩に住んでいた人々。
「迫門(せと)」は狭い海峡のことです。
そんな「隼人の薩摩の瀬戸を雲居とまがうほどに遠くに、私は今日見たことです。」と、九州での旅愁を詠った一首となっています。
ただ、もちろんこの歌も単純な旅愁を詠っただけではなく、旅先での不安の中で消え入りそうになる自身の心を自分の居る情景を歌に詠むことで現世に留めようとしたものなのでしょうね。
長田王たちの時代の人々は、このように歌を詠って自身の心と向き合うことで旅の不安に動揺する心を鎮めたのです。
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万葉集巻三
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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