万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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長忌寸奥麿(ながのいみきおきまろ)の歌一首

苦(くる)しくも降り来(く)る雨か神(みわ)の崎狭野(さの)の渡(わた)りに家(いへ)もあらなくに

巻三(二六五)
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不本意にも降ってくる雨だなあ、三輪の崎の狭野の渡しに家もないというのに。
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この歌は長忌寸奥麿(ながのいみきおきまろ)が旅先で詠んだ一首。
三輪の崎は和歌山県新宮市三輪崎あたりでしょうか。
「渡り(渡し)」とは舟などで対岸に渡るための船着き場のことで、この場合は紀の川を渡るためのものだと思われます。
そんな狭野の渡りで雨に降られた精神的な辛さを詠った一首ですね。
「旅先でただでさえ心細いというのに不本意にも降ってくる雨だなあ、近くには家もないというのに…」との、長忌寸奥麿のなんともやるせない思いが伝わってきますね。

「家」というのはもちろん雨宿りさせてくれる家のことですが、同時に妻の待つ家のことも表しているのでしょう。
こんな見も知らぬ旅先で雨に濡れていないで、はやく妻のもとに帰りたいとの思いの篭った歌でもあります。


奈良県桜井市金屋にあるこの歌の歌碑。
大三輪病院に上がる手前の舗装されていない駐車場脇にあります。


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万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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