万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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高市連黒人(たけちのむらじくろひと)の歌二首

吾妹子(わぎもこ)に猪名野(ゐなの)は見せつ名次山角(なつぎやまつの)の松原いつか示さむ

巻三(二七九)
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吾妹子に猪名野は見せることが出来た。名次山や角の松原もいつか見せたいものだなあ。
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この歌は、高市連黒人(たけちのむらじくろひと)の詠んだ歌の二首のうちのひとつ。
「猪名野(ゐなの)」は兵庫県伊丹市一帯の猪名川を中心とする地帯。
「名次山(なつぎやま)」は兵庫県西宮市名次町の丘陵。
「角の松原」は武庫川の河口一帯に広がる松原。

「吾妹子に猪名野は見せることが出来た。名次山や角の松原もいつか見せたいものだなあ。」との、女性との旅の一首ですが、これはどうやら天皇(持統太上天皇でしょうか)の行幸に従駕したときの歌でこの「妹子(もこ)」もひとりの個人ではなく官女たちのことを恋人に見立ててこう詠ったようですね。

「猪名野は見せることが出来た。」とあるのは素晴らしい土地を見せることが出来たとの土地讃めの意味で、猪名野を誉めることでその土地の神の加護を得ようとしたのでしょう。
おなじく、「名次山や角の松原もいつか見せたい」というのも、播磨(兵庫)一帯が素晴らしい土地であるとの意味が込められた土地讃めの言霊なわけですね。


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万葉集巻三


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万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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