万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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春日蔵首老(かすがのくらのおびとおゆ)の歌一首
つのさはふ磐余(いはれ)も過ぎず泊瀬(はつせ)山何時(いつ)かも越えむ夜(よ)は更(ふ)けにつつ
巻三(二八二)
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岩石の荒い磐余もまだ過ぎていないのに泊瀬山は何時になったら越えられるだろう。夜も更けてゆくというのに。
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この歌は春日蔵首老(かすがのくらのおびとおゆ)の詠んだ一首。
「泊瀬(はつせ)山」は奈良県桜井市初瀬を囲む山。
「磐余(いはれ)」は、香具山の北の地。
春日老はここを通って泊瀬のほうへ向かっていたのでしょう。
「岩石の荒い磐余もまだ過ぎていないのに泊瀬山は何時になったら越えられるだろう。夜も更けてゆくというのに。」と、まだ磐余の地も過ぎていないのにこれから泊瀬の山を越えてゆかねばならない長い旅路を思っての心の不安を詠った一首ですね。
実際には夜に山路を越えることはなかったはずですのでその手前で仮宿の野宿をしたのでしょうが、夜の更けてゆく旅路での動揺する心を歌を詠うことで鎮めようとした春日老の不安な心情がよく表れている一首ですよね。
奈良県桜井市の安倍文殊院(文殊院西古墳横)にあるこの歌の歌碑。
明日香村の山田寺跡の側(飛鳥資料館前の道を山田寺跡に入ってすぐ)にある磐余道の石標(井上靖氏の揮毫)。
泊瀬山(初瀬山)。
泊瀬山は固有の山の名ではなく、桜井市初瀬を囲む山々のこと。
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万葉集巻三
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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