万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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春日蔵首老(かすがのくらのおびとおゆ)の歌一首

焼津辺(やきつへ)にわが行きしかば駿河(するが)なる阿倍(あべ)の市道(いちぢ)に逢(あ)ひし児(こ)らはも

巻三(二八四)
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焼津のあたりに行ったとき、駿河の阿倍の市の道で逢った娘よ。
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この歌は春日蔵首老(かすがのくらのおびとおゆ)の詠んだ一首。
「焼津(やきつ)」は静岡県焼津市。

そんな「焼津のあたりに行ったとき、駿河の阿倍の市の道で逢った娘よ。」と、駿河の阿倍の市近くの道で出逢った娘を思い出して春日老の詠んだ一首となっています。
この当時、「市(いち)」は物を交換する場であると同時に、春と秋には村々の男女が集まって歌を掛け合い群婚する「歌垣(うたがき)」の場でもありました。
(「歌垣」は奈良時代になると貴族の間では宮廷芸能と化していきましたが、この歌の詠まれた飛鳥時代にはまだまだ地方の若者たちの群婚の習俗として行われていたようですね。)
この下の句には春日老がそんな歌垣で地元の娘と歌を交し合ったような甘い恋の雰囲気も感じさせてくれます。

まあ、実際のところは都の官人である春日老がこのような地方の民の歌垣に参加することはなかっただろうと思いますが、駿河の安倍の市で見た歌垣の娘を思い出す(歌垣の行われる市などの場所は神々を奉る神聖な場所でもありました)ことで、旅路の不安な心を鎮めようとした一首だったのでしょう。


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万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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