万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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小田事(をだのこと)の勢(せ)の山の歌一首

真木(まき)の葉のしなふ勢の山忍(しの)はずてわが越えゆけば木(こ)の葉知りけむ

巻三(二九一)
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真木の葉のしなえている勢の山は、私が心しなえて越えてゆくのが木の葉にも伝わったのだろうか。
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この歌は小田事(をだのこと)が勢(せ)の山を越えたときに詠んだ一首。
「勢の山」は和歌山県にある「背山(せのやま)」のこと。
作者の小田事(をだのこと)は小田事主(をだのことぬし)、あるいは「言主(ことぬし)」ともいい、「主」は敬称として添えられたものでしょうか。

そんな小田事主が勢の山を越えたときの一首ですが、「真木の葉のしなえている勢の山は、私が心しなえて越えてゆくのが木の葉にも伝わったのだろうか。」と、旅の不安に動揺する自身の心が伝わって勢の山の木の葉もしなえているのかと詠っています。
この時代、樹木には人の心を知る力があると考えられていたようです。
それゆえに、事主には自身の旅路の不安な心に同意してくれる木の葉の存在が多少でも心の慰めとなったのでしょうね。


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万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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