万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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田口益人大夫(たぐちのますひとのまへつきみ)の上野国(かみつけののくに)の司(つかさ)に任(ま)けらえし時に、駿河(するが)の浄見ア(きよみのさき)に到りて作れる歌二首

廬原(いほはら)の浄見の崎の三保(みほ)の浦の寛(ゆた)けき見つつもの思ひもなし

巻三(二九六)
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廬原の浄見の崎の三保の浦のゆたかな海を見ていると旅の不安も消え去ってしまうよ。
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この歌は上野国(かみつけののくに)の司(つかさ)に任命された田口益人大夫(たぐちのますひとのまへつきみ)が、赴任先へ向かう途中の駿河(するが)の浄見ア(きよみのさき)で詠んだ二首の歌のうちのひとつ。
田口益人が上野守に任命されたのは和銅元年(元明天皇の時代)三月十三日のこと。

「浄見崎(きよみのさき)」は静岡県浄見市興津町。
「三保(みほ)」は清水市三保で、浄見崎と三保崎が浦を挟んで対になっています。

そんな「廬原の浄見の崎の三保の浦のゆたかな海を見ていると旅の不安も消え去ってしまうよ。」と、旅の不安に動揺する心がゆたかな海を見て鎮まる心情を詠っています。
これも「もの思ひもなし」と実際に言葉に出して詠うことで、旅先で動揺する自身の心を言霊の力で鎮めようとした一首なのでしょう。
あるいは田口益人には上野守として地方に赴任することに不満もあったのかも知れませんが、そんな心も含めてすべてを三保の浦の広い海に託してしまおうとしたのかも知れませんね。


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万葉集巻三


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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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