万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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中納言安倍広庭卿(あべのひろにはのまへつきみ)の歌一首

児(こ)らが家道(いへぢ)やや間遠(まとほ)きをぬばたまの夜(よ)渡る月に競(きほ)ひあへむかも

巻三(三〇二)
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あの子の家への道は少し遠いけれど暗闇の夜を渡ってゆく月が隠れる前にたどり着けるだろうか。
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この歌は中納言安倍広庭卿(あべのひろにはのまへつきみ)の詠んだ一首。
「子ら」は相手の女性への愛称。
「ぬばたまの」は「夜」などにかかる枕詞。

「あの子の家への道は少し遠いけれど暗闇の夜を渡ってゆく月が隠れる前にたどり着けるだろうか。」との、想い人の家までの夜道を照らす月の光を思って詠った一首ですね。
一説によるとこの歌は宴会の席での「行路」のお題で詠んだ題詠だったのではとも言われていますが、宴席からも月が見えたのでしょうか。
この時代は現在と違って当然街灯などはなく、月だけが夜道を照らす光でした。

そんな夜道を照らす夜空を渡り行く月と、愛しい想い人の家への行路を思って詠んだ静かな魅力の一首ですよね


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万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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