万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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博通法師(はくつふうほふし)紀伊国(きのくに)に往きて、三穂(みほ)の石室(いはや)を見て作れる歌三首
はだ薄久米(すすきくめ)の若子(わくご)が座(いま)しける〔一(ある)は云はく、けむ〕三穂(みほ)の石室(いはや)は見れど飽(あ)かぬかも〔一は云はく、荒れにけるかも〕
巻三(三〇七)
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はだ薄久米の若子がいらした〔一は云はく、いらしたという〕三穂の石室は見飽きないことだなあ。〔一は云はく、荒れてしまったことだなあ。〕
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この歌は博通法師(はくつふうほふし)が紀伊国(きのくに)の三穂(みほ)の石室(いはや)を見て詠んだ三首の歌のうちのひとつ。
博通法師については詳しいことはなにも伝わっていないようです。
「久米(くめ)の若子(わくご)」は伝説上の人物で、流離伝説が各地にあったのでしょう。
この三穂(みほ)の石室(いはや)もそのうちのひとつ。
「はだ薄」は「三穂」にかかる枕詞。
「三穂の石室」は和歌山県日高郡美浜町の三尾湾付近の岩屋。
そんな三穂の石室を見て「はだ薄久米の若子がいらした〔一は云はく、いらしたという〕三穂の石室は見飽きないことだなあ。〔一は云はく、荒れてしまったことだなあ。〕」と久米の若子の居た昔に思いを馳せて詠んだ一首ですね。
三穂の石室を久米の若子伝説のある由緒ある場所と詠った、これもいわゆる土地讃めの歌になるのでしょう。
以下、博通法師の三穂の石室の歌が続きます。
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万葉集巻三
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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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