万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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門部王(かどべのおほきみ)の東(ひむがし)の市(いち)の樹(き)を詠(よ)みて作れる歌一首 後に、姓大原真人(かばねおほはらのまひと)の氏を賜へり

東(ひむがし)の市(いち)の植木(うゑき)の木足(こだ)るまで逢(あ)はず久(ひさ)しみうべ恋ひにけり

巻三(三一〇)
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東の市の植え木の枝が垂れ下がるまで長い間逢わず、寂しいことだなあ。
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この歌は門部王(かどべのおほきみ)の東(ひむがし)の市(いち)の樹(き)を詠んだ一首。
この当時、門部王という人物は二人いてはっきりと区別がつかないようですが、題詞からすると長皇子(ながのみこ)の孫で高安王(たかやすのおほきみ)の弟である、後に臣下に下って大原真人(おほはらのまひと)の姓を賜った人物のようですね。

そんな門部王が東の市を詠んだ一首ですが、「東の市の植え木の枝が垂れ下がるまで長い間逢わず、寂しいことだなあ。」と、市に植えられている樹の枝が垂れ下がるまで長い間恋人に逢っていない寂しさを詠っています。
「東(ひむがし)の市(いち)」は、奈良の都の東(羅城門の東)にあった市で、現在の奈良市杏町のあたり。

「市(いち)」は人々が食料や焼き物などを交換する場で、緑蔭で食を給することもあったために樹が植えられていました。
そんな市の樹の枝が垂れ下がるまで長い間恋人に逢っていないとのことですが…ただ、実際にはこの歌は「市の木」というお題で詠んだ題詠だったようですね。
あるいは宴などの席で詠まれたものだったのでしょうか。

そんな当時の東の市の様子が目に浮かんでくるようで、興味深い一首でもありますね。


奈良市杏町の辰市神社にあるこの歌の歌碑。


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万葉集巻三


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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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