万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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波多朝臣小足(はたのあそみをたり)の歌一首
さざれ波磯越道(いそこしぢ)なる能登湍河(のとせがは)音のさやけさ激(たぎ)つ瀬ごとに
巻三(三一四)
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ささ波が岩を越す越後道の能登湍河の音のさやけさよ、激しい瀬ごとに。
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この歌は波多朝臣小足(はたのあそみをたり)が能登湍河を詠んだ一首。
「能登湍河(のとせがは)」は「能登瀬川」で所在は不明ですが、一説によると滋賀県坂田郡近江町能登瀬付近を流れる天野川(あまのがわ)のこととも。
波多小足については詳しいことは何もわかっていないようです。
そんな波多小足が詠んだ一首ですが、「ささ波が岩を越す越後道の能登湍河の音のさやけさよ、激しい瀬ごとに。」と、能登瀬川の音のさやけさを讃えています。
これも波多小足が実際に能登瀬の地を訪れたときに詠んだ、いわゆる土地讃めの一首なのでしょうね。
この時代の旅人はこのように旅先の土地を誉める歌を詠んで土地の神にささげることで、その加護を得て旅の無事を祈ったのです。
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万葉集巻三
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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