万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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門部王(かどべのおほきみ)の難波(なには)に在(あ)りて、漁父(あま)の燭光(ともしび)を見て作れる歌一首〔後に、姓(かばね)、大原真人の氏を賜へり〕

見渡せば明石(あかし)の浦に燭(とも)す火の秀(ほ)にそ出(い)でぬる妹に恋ふらく

巻三(三二六)
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見渡すと明石の海上に漁船の燭す光が見える。そのように表に出てしまったよ、妻への恋は。
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この歌は門部王(かどべのおほきみ)が難波(なには)の地で漁父(あま)の燭光(ともしび)を見て作った一首。
この当時、門部王という人物は二人いたようですが、題詞によるとこの歌を詠んだのは長親王(ながのしんわう)の孫で後に臣下に下って大原真人の姓を賜った人物のようですね。

そんな門部王の詠んだ一首ですが、「見渡すと明石の海上に漁船の燭す光が見える。そのように表に出てしまったよ、妻への思いは。」と、家に残してきた妻への思いを詠っています。
「秀(ほ)」とは「出たもの」をいう言葉で、炎「火(ほ)の秀(ほ)」などの語源。
この歌の場合は妻を思う気持ちが表に出てしまったとの意味でしょう。

まあ、実際のところはこの歌も単純な恋歌ではなく、このように家に残してきた妻を思い出して詠うことで旅先での心の動揺を鎮めようとした旅の鎮魂歌なのでしょうね。
少し前の飛鳥時代の歌とはまた違った、繊細な技巧も感じさせてくれる一首のように思います。


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万葉集巻三


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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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