万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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或(あ)る娘子等(をとめら)の、裹(つつ)める乾鰒(ほしあはび)を贈りて戯(たはぶ)れに通観僧(つうくわんほふし)の咒願(じゆぐわん)を請(こ)ひし時に通観の作れる歌一首

海若(わたつみ)の沖(おき)に持ち行きて放つともうれむそこれがよみがへりなむ

巻三(三二七)
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海の沖まで持って行って放ったとしてもどうしてこれが蘇りましょう。
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この歌は通観僧(つうくわんほふし)の詠んだ一首。
通観僧については詳しいことはわかっていないようです。
「海若(わたつみ)」は海の神のことで、この場合は海そのもののこと。

題詞によると、ある娘子らが通観僧に裹(つつ)んだ乾鰒(ほしあはび)を贈ったときに、通観僧の呪願でその鰒を蘇らせてほしいと戯れて言ったそうです。
この時代、僧の呪願で蘇生することがあると信じられていたようですね。

その時に通観僧が答えて詠んだのがこの歌ですが「海の沖まで持って行って放ったとしてもどうしてこれが蘇りましょう。」との、もっともな内容の一首ですよね。
ただ、これはもちろん鰒そのものを詠ったものですが、乾鰒には枯れ果てた女性の寓意があり、いくら僧の呪願でも年の盛りは取り戻せないとの意味も込められていたようです。

そんな娘子たちの戯れに対しても、一度きりの人生の大切さを説いた僧らしい一首ですよね。


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万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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