万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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沙弥満誓(さみまんせい)の歌一首

世間(よのなか)を何に譬(たと)へむ朝びらき漕(こ)ぎ去(い)にし船の跡(あと)なきがごと

巻三(三五一)
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この世を何に譬えよう。朝の港を漕ぎ出て行った船の引く跡が一瞬にして消えてしまうようなものか。
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この歌は沙弥満誓(さみまんせい)の詠んだ一首。
沙弥満誓はもとの名は笠麿(かさのまろ)といい、朝廷に仕える笠氏出身の朝臣でしたが元明天皇の病の際に出家し沙弥満誓となりました。
その後、筑紫観音寺別当として大宰府に赴任し、後に大宰師として赴任してきた大伴旅人(おほとものたびと)らとともに筑紫歌壇と呼ばれることになる独自の歌風を形成しました。

そんな沙弥満誓が詠んだ一首ですが、「この世を何に譬えよう。朝の港を漕ぎ出て行った船の引く跡が一瞬にして消えてしまうようなものか。」と、人生の無常を詠って独特の雰囲気を持った一首ですよね。
実際、この歌は後の世の人々に無常の歌として広くもてはやされたそうです。

一応、独立した歌ではありますが、大伴旅人の「酒を讃(ほ)むるの歌」十三首の直後に載せられていることから、あるいは失意の旅人を慰めるために詠んだ一首だったのかも知れませんね。
喜びも悲しみも、この世での出来事は一瞬のものだとの悟りは、いかにも出家した僧らしい歌だとも思えます。


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万葉集巻三


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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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