万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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若湯座王(わかゆゑのおほきみ)の歌一首

葦(あし)へには鶴(たづ)が音(ね)鳴きて湖風(みなとかぜ)寒く吹くらむ津乎(つを)の崎はも

巻三(三五二)
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葦べには鶴の鳴く声が聞こえ港には風が寒く吹いているだろう、津乎の崎は。
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この歌は若湯座王(わかゆゑのおほきみ)の詠んだ一首。
若湯座王については詳しいことはわかっていないようですが、皇子に産湯を使わせる者を若湯座(わかゆゑ)と呼ぶのでその一族に傅育された人物かと思われます。
「津乎(つを)の崎」は所在不明ですが、難波の津の尖端の岬でしょうか。

そんな若湯座王の歌ですが、「葦べには鶴の鳴く声が聞こえ港には風が寒く吹いているだろう、津乎の崎は。」と、風の冷たい津乎の崎の様子を想像して詠んでいます。
この歌だけからはちょっとはっきりとした状況がわからないのですが、あるいは若湯座王自身が津乎の崎を目指して旅している途中の歌なのかも知れませんね。
「寒く吹くらむ」と詠っていることからも冬の旅路での一首だったのではないでしょうか。

厳しい寒さの中でこれから向かう津乎の崎を想像して詠んだ、旅路の心の不安がよく表れている一首のようにも思えます。


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万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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