万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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上古麿(かみのこまろ)の歌一首

今日(けふ)もかも明日香(あすか)の川の夕さらず河蝦(かはづ)鳴く瀬の清(さや)けかるらむ
〔或る本の歌の発句(はじめのく)に云はく、明日香川今もかもとな〕

巻三(三五六)
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今日もまた明日香の川の夕べには必ず蛙が鳴くあの瀬は清らかなことだろうなあ。
〔或る本の初句に云はく、明日香川今ももしかすると〕
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この歌は上古麿(かみのこまろ)の詠んだ一首。
上古麿は姓を村主(すぐり)といい、百済系の渡来人だったようです。

そんな上古麿が明日香川を詠んだ一首ですが、「今日もまた明日香の川の夕べには必ず蛙が鳴くあの瀬は清らかなことだろうなあ。」と、懐かしい飛鳥川の様子を想像しての一首となっています。
この歌も詠まれた背景はよくわかりませんが、おそらくは奈良の都を発って懐かしい明日香の地を訪れたばかりの上古麿が、明日香の地を讃えて詠んだ土地讃めの歌なのでしょう。

この時代の人々はあらゆる場所にその土地に居ついた神がいると信じ、土地を離れるときにはその土地の神に別れと感謝の歌を奉げ、新たに訪れた土地の神にまた土地讃めの歌を奉げてその土地での旅の無事を祈りました。
この歌も、奈良の都からやって来て明日香の地に足を踏み入れた上古麿が、明日香の地の神に奉げたそんな言霊の一首だったのでしょう。


明日香村埋蔵文化財展示室の前の道沿いにあるこの歌の歌碑。



添碑。


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万葉集巻三


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万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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