万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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笠朝臣金村(かさのあそみかなむら)の塩津(しほつ)山にて作れる歌二首
大夫(ますらを)の弓上振(ゆずゑふ)り起(おこ)し射(い)つる矢を後(のち)見む人は語り継(つ)ぐがね
巻三(三六四)
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大夫が弓矢を振り起こして射た矢を後に見る人は語り継いでほしい。
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この歌は笠朝臣金村(かさのあそみかなむら)が塩津(しほつ)山で詠んだ二首の歌のうちのひとつ。
「塩津(しほつ)山」は滋賀県伊香郡西浅井町塩津浜の北の山で、敦賀に越える山。
「大夫(ますらを)」は立派な男子のことでこの場合は笠金村自身のこと。
歌の内容は「大夫が弓矢を振り起こして射た矢を後に見る人は語り継いでほしい。」との、塩津山で放った矢を詠った一首ですが、この当時旅の無事を祈って峠の神木に矢を射立てる風習があったようです。
そんな風習と同時に、放った弓矢の勢いのように自身の内なる霊力の活性化を願った歌でもあるのでしょうね。
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万葉集巻三
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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