万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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山部宿禰赤人の故太政大臣藤原家(なきおほきおほまへつきみふぢはらのいへ)の山池(しまのいけ)を詠める歌一首

古(いにしへ)のふるき堤(つつみ)は年深(としふか)み池のなぎさに水草(みぐさ)生ひにけり

巻三(三七八)
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昔の古い堤は年を経て池の渚には水草が生えたなあ。
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この歌は山部宿禰赤人(やまのべのすくねあかひと)が故太政大臣藤原家(なきおほきおほまへつきみふぢはらのいへ)の山池(しまのいけ)を詠んだ一首。
故太政大臣藤原は藤原不比等(ふぢはらのふひと)のこと。
赤人がこの歌を詠んだのは不比等の死後、十数年が経ってからのことと思われます。

そんな藤原不比等の居なくなった庭園の池を見て「昔の古い堤は年を経て池の渚には水草が生えたなあ。」と、その神さびた様子を詠った内容となっています。
この歌もおそらくは単なる情景歌ではなく、亡くなった藤原不比等の魂やこの庭に居ついた土地の神を慰めようとした鎮魂歌だったのではないでしょうか。


奈良県奈良市法華寺北町にある海龍王寺。
海龍王寺は藤原不比等の邸宅跡の隅に建てられたことから隅寺とも呼ばれています。



奈良県奈良市法華寺町にある法華寺本堂。
藤原不比等が亡くなった後、その邸宅は不比等の娘の光明皇后の皇后宮となり、その皇后宮を宮寺としたのが法華寺のはじまりだそうです。
不比等の邸宅はこの法華寺一帯の広大な土地だったようですね。


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万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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