万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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筑紫(つくし)の娘子(をとめ)の行旅(たびびと)に贈(おく)れる歌一首 娘子は字(あざな)を児島(こじま)といへり
家思(いへおも)ふとこころ進むな風守(かぜまも)り好(よ)くしていませ荒(あら)しその路(みち)
巻三(三八一)
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家郷が恋しいからといって慌てて進んではいけませんよ。風の具合をよくうかがってお進みください。荒いその道ですから。
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この歌は筑紫(つくし)の娘子(をとめ)が都へ帰ってゆく官人に贈った餞別の一首。
題詞によると、この筑紫の娘子は、大伴旅人(おほとものたびと)に仕えた遊女(うかれめ)の児島(こじま)のことのようですね。
この都へ帰ってゆく行旅(たびびと)は誰のことかははっきりとしませんが、あるいは大伴旅人の帰還に合わせて都へ帰って行った大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)の一行であったのかも知れません。
そんな都へと帰ってゆく行旅に「家郷が恋しいからといって慌てて進んではいけませんよ。風の具合をよくうかがってお進みください。荒いその道ですから。」と、その旅路を案じた一首となっています。
「風の具合をよくうかがってお進みください。」とは、おそらく海路のことを言ったものでしょうね。
この時代になると官道などが整備されて旅もかつてほどの危険はなくなっていたようですが、それでも海路などは風が荒いと船が転覆したりなどまだまだ危険をはらんでいたのでしょう。
そんな船旅では「海の神の心をよくうかがって渡るように」との帰路を案じて贈った、餞別の一首となっています。
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万葉集巻三
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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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