万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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筑波岳(つくはのをか)に登りて、丹比真人国人(たぢひのまひとくにひと)の作れる歌一首并せて短歌

鶏(とり)が鳴く 東(あづま)の国に 高山(たかやま)は 多(さは)にあれども 明(あき)つ神の 貴(たほと)き山の 並(なみ)立ちの 見が欲(ほ)し山と 神代(かみよ)より 人の言ひ継(つ)ぎ 国見(くにみ)する 筑羽(つくは)の山を 冬ごもり 時じき時と 見ずて行かば まして恋(こほ)しみ 雪消(ゆきげ)する 山道(やまみち)すらを なづみぞわが来(け)る

巻三(三八二)
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鶏が鳴き、夜の明けて来る東の国に高い山は多くあるけれど、現し身の神の貴き山、並び立つ見飽きない山と、神代から人々が語り継ぎ、国見をした筑波の山を、冬にこもって登るべき時でないと国見せずに行ってしまっては、まして恋しく思うだろうと、雪解けのする山道すらも、苦労して私は登って来たことだ。
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この歌は丹比真人国人(たぢひのまひとくにひと)が筑波岳(つくはのをか)に登って詠んだ長歌。
「筑波岳(つくはのをか)」は、茨木県の筑波山。

歌の内容は、まず「鶏が鳴き、夜の明けて来る東の国に高い山は多くあるけれど…」と詠い出し、その中でも神代から語り継がれる貴き山であると筑波山を褒めたたえています。
そんな筑波山に、冬だから登るべき時でないと国見せずに行ってしまったら後悔するだろうと、雪道を苦労して登って来たと詠っています。

まあ、これもいわゆる筑波山を褒めたたえた土地讃めの言霊歌なのでしょう。
万葉の時代の人々は、筑波山にかぎらずありとあらゆる山や土地に神が居ると信じていました。
そしてそんな神々の居る場所を訪れた者は、その土地を褒めたたえる歌を奉げることで荒ぶる土地の神の祟りを避け、逆に旅の加護を受けようとしたのです。


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万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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