万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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大宰大監大伴宿禰百代(だざいのだいげんおおとものすくねももよ)の梅の歌一首
ぬばたまのその夜(よ)の梅をた忘れて折らず来にけり思ひしものを
巻三(三九二)
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ぬばたまの夜に咲いていたあの梅の花を忘れて手折らずに来てしまった。かねてから思っていたものを。
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この歌は大宰大監大伴宿禰百代(だざいのだいげんおおとものすくねももよ)が詠んだ梅の歌。
「ぬばたまの夜に咲いていたあの梅の花を忘れて手折らずに来てしまった。かねてから思っていたものを。」と、大伴百代がかねてから大切に思っていた梅の花を手折らずに帰ってきてしまったことを悔やんだ一首ですが、これも梅の花を想い人に譬えた恋の歌ですね。
つまりは好意を抱いていた女性を手に入れずに帰って来てしまったとの後悔の一首なわけですが、まあ、実際にそんなに好きな相手をうっかり忘れてくるなどということはないので、これは宴の席などで遊女を相手に戯れて詠んだ恋歌といったところでしょうか。
そんな「た忘れて」と「思ひしものを」のとぼけぶりがなんとも面白い一首のように思います。
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万葉集巻三
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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