万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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笠女郎(かさのいらつめ)の大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)に贈れる歌三首

託馬野(つくまの)に生(お)ふる紫草衣(むらさききぬ)に染めいまだ着ずして色に出(い)でにけり

巻三(三九五)
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託馬野に生えるという紫草で衣を染めるように染まり、まだ着てもいないのに人に知られてしまいました。
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この歌は笠女郎(かさのいらつめ)が大伴家持(おほとものやかもち)に贈った三首の恋歌のうちのひとつ。

笠女郎については詳しいことはあまりよく分かっていないのですが、天平五年ごろから家持に情熱的な恋歌を何首も贈っています。
大伴家持は大伴旅人(おほとものたびと)の子で、万葉集の編者であると云われている人物です。

託馬野は滋賀県の坂田郡米原町筑摩や熊本県長嶺町付近など候補地が分かれていてはっきりとは確定していません。
歌の内容としてはそんな「託馬野に生えるという紫草で衣を染めるように染まり、まだ着てもいないのに人に知られてしまいました。」との、一見意味が分かりにくい内容ですが、これは「家持という紫草で笠女郎の心が染まった」という意味で、まだ着てもいないのに色に出たとは「まだ想いが成就してもいないのに人に知られてしまった」ということのようです。

まあ、自分からこんな情熱的な歌を家持に対して贈るぐらいですから、この笠女郎という女性は色に出るのも当然なほどに家持への想いを隠しきれない人だったのでしょうね。
次の歌に続きます。


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万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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