万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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藤原朝臣八束(ふぢわらのあそみやつか)の梅の歌二首〔八束、後の名は真楯(またて)、房前(ふささき)の第三子なり〕

妹(いも)が家(いへ)に咲きたる梅の何時(いつ)も何時も成りなむ時に事(こと)は定(さだ)めぬ

巻三(三九八)
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君の家に咲いている梅の花が、いつでもいつでも、実のなったときにはお約束しましょう
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この歌は藤原朝臣八束(ふぢわらのあそみやつか)が梅を詠んだ二首の歌のうちのひとつ。
藤原八束は藤原四兄弟の房前(ふささき)の第三子で、後の藤原真楯のことです。
新興貴族の藤原一族でありながらめずらしく大伴家持と親交もあったようで、万葉集にもそのことが窺える記述があります。

そんな八束が想い人への恋心を梅に譬えて詠んだ一首ですが、下の句の「事は定めぬ」は「結婚しよう」との婚姻の約束の意味で、「君の家に咲いている梅の花が、いつでもいつでも、実のなったときには結婚しましょう」との内容の歌のようですね。
ただ、花の咲く梅には実がならないことから、どうやらいくら思っても実らぬ相手への恋を実のならない梅に譬えた嘆きの一首といえるでしょう。

八束がいったい誰を想ってこの歌を詠んだのかは分かりませんが、人間とはこんなふうにいつの世も実らぬ恋の切なさに思い嘆くものなのでしょうね。


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万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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