万葉集入門
万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

スポンサード リンク


大伴坂上郎女の親族(うから)と宴(うたげ)する日に吟(うた)へる歌一首

山守(やまもり)のありける知らにその山に標結(しめゆ)ひ立てて結(ゆ)ひの恥(はぢ)しつ

巻三(四〇一)
----------------------------------------------
山の番人がいるのを知らないでその山に標を結んで結の恥をしてしまいました。
----------------------------------------------

この歌は大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)が詠んだ一首。
大伴坂上郎女は大伴旅人の異母妹で、旅人の子である大伴家持にも多大な歌の影響を与えた万葉集中期以降を代表する女流歌人です。

歌の内容としては「山を守る番人がいるのも知らないでその山に標を結んで恥をしてしまった」との意味ですが、これも巻三の譬喩歌の部の歌なので恋を山に譬えていると解釈するべきでしょう。
「山守」は「すでに結婚の約束をした男性」で、「山」は女性と解釈し、「すでに約束をした相手がいるのを知らないでその女性と心を通わせようとして、結の恥をしてしまいました。」といったところでしょうか。
大伴坂上郎女は女性なのですが、この歌は題詞に「親族と宴する日に吟へる歌」とあるので、親族との宴会の席で男性の側に立って詠んだ戯れの一首なのでしょう。

万葉集の歌には言霊としての呪術的な祈りを込めた歌が多いのですが、ときに後の時代の短歌にも通じるこういう場を盛り上げるための戯れ歌なども存在して興味深いですね。


スポンサード リンク


関連記事
万葉集巻三の他の歌はこちらから。
万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

万葉集入門(トップページ)へ戻る

当サイトはリンクフリーです、どうぞご自由に。
Copyright(c) 2015 Yoshihiro Kuromichi (plabotnoitanji@yahoo.co.jp)


スポンサード リンク


欲しいと思ったらすぐ買える!楽天市場は24時間営業中

Amazon.co.jp - 通販